フリーランスになると、経費として計上したいものについてはレシートや領収書が必要になります。しかし、いつも受け取っているレシートでも問題ないのか不安な人もいるのではないでしょうか。
フリーランスは自分で会計処理しなければならないため、「経費計上でのレシートの扱い」を正しく理解しておきたいものです。本記事では、フリーランスが知っておきたいレシートの管理について紹介します。
インボイス制度の導入によって、レシートがどのような扱いになるのかも解説しているので、ぜひ参考にしてください。
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確定申告はレシートでも大丈夫?

結論からお伝えすると、レシートでも確定申告は認められます。
確定申告の際にレシートの提出を求められることはありませんので、所定の期間しっかりと保管しておけば問題ありません。
そもそもフリーランスが確定申告をおこなう理由は、納めるべき金額(納税額)を算出するためです。レシートがあることで、「いくらの」「何を」「いつ」購入したかがわかり、確定申告の際の証明となります。
確定申告によって納める税金は1年単位のため、経費として「いくら何に使ったのか?」をレシートをもとに計算していくことになります。ただし、税務署からの調査が入った場合、すみやかに該当のレシートの提出が求められます。
レシートと領収書の違い
レシートと領収書は、同じような役目をするため、一見どのような違いがあるのか知らない人も多いでしょう。レシートも領収書も「適格簡易請求書」と呼ばれる書類です。
両者の違いは、「宛名」が記載されているかどうかです。領収書には、購入した人の氏名や名称を記載しますが、一般的なレシートには氏名を書くことはありません。
「経費として証明するには、領収書でなければならない」と考えている人もいるかもしれませんが、実はそうではありません。「上様」や「お品代」など、曖昧な内容で手書きしている領収書より、機械で印字されたレシートの方が信憑性が高いとみなされることもあります。
また、企業によってはレシートではなく領収書でなければならないケースもありますが、税務署としてはレシートを当然の証拠書類として考えているため、なんの問題もありません。
インボイス制度導入後のレシートについて
インボイス制度とは、「適格請求書」の交付が求められる制度のことです。2023年10月1日より導入されました。すべてのフリーランスは、インボイス制度の導入により、事業上で発生した消費税を納税する課税事業主になるかどうかの対応が求められています。
レシートや領収書は「適格簡易請求書(簡易インボイス)」と呼ばれ、インボイス制度の導入後も書類として使うことができます。「適格請求書」と「適格簡易請求書」の大きな違いは、書類の交付を受ける事業者の氏名の記載の有無です。
レシートや領収書のような「適格簡易請求書」には、受け取る人の名前を書く必要がありません。なお、以下の「適格請求書」の代わりに「適格簡易請求書」が発行できるのは、不特定多数の者にサービスを提供する以下の事業者となっています。
- 小売業
- 飲食店業
- 写真業
- 旅行業
- タクシー業
- 駐車場業(不特定かつ多数の者に対するものに限ります。)
- その他これらの事業に準ずる事業で不特定かつ多数の者に資産の譲渡等を行う事業
(参考:消費税の仕入税額控除制度における 適格請求書等保存方式に関するQ&A)
フリーランスの場合は、経費を精算するためにレシートを使うのがメインとなりますが、上記の事業者の発行したものであればレシート・領収書のどちらでも問題ありません。
インボイス制度導入後、レシートの受け取りで注意すべきポイント
インボイス制度の導入によって課税事業者になる選択をしたフリーランスは、受け取った消費税を確定申告で支払わなければなりません。このとき支払う消費税額は、「課税売上の消費税から、課税仕入れの消費税を差し引いた金額」で計算し、この仕組みを『仕入税額控除』と言います。
これまでは特例として3万円未満の支払額の場合、レシートや領収書がなくても帳簿を保存していれば仕入税額控除を受けることができました。しかし、インボイス制度の導入後はこの特例は廃止されています。
現在では、帳簿と適格請求書または適格簡易請求書の保存が必要となっています。
(参考:No.6496 仕入税額控除をするための帳簿及び請求書等の保存)
とはいえ、令和5年度の税制改正により、例外も認められています。インボイス制度の施行から6年間(2029年10月まで)は、1万円未満のものに限り、帳簿に記載するだけで領収書などの保存がなくても仕入税額控除が認められます。
この特例は、基準期間の課税売上高が1億円以下、もしくは前事業年度上半期の課税売上高が5,000万円以下の事業者が対象となっています。
なお、インボイス制度について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
フリーランスがレシートを保管しなければならない期間
レシートの保管期間は、青色申告者・白色申告者によって異なります。どちらも所得税法で定められている期間のため「もう古いし、そろそろ捨てよう」という個人の判断で捨てると、いざという時に困る可能性があります。
【青色申告のフリーランスの場合】
青色申告のフリーランスは、7年間のレシートの保管が義務付けられています。例外として前々年の所得が300万円以下のフリーランスは、保管期間は5年間となります。
【白色申告のフリーランスの場合】
白色申告をおこなうフリーランスの場合、保管期間は5年間となります。
(参考:記帳や帳簿等保存・青色申告)
レシートは電子データとして保管できる

個人のフリーランスであれば、1年でそこまでレシートの量が増えることはないかもしれません。しかし、7年間もあれば、そこそこの枚数のレシートがたまるのではないでしょうか?
そうなると、管理の手間がかかるだけでなく、紛失の可能性も高まります。レシートをスキャンして電子データ化することでPC上での管理が可能になり、実物がどこに行ったかを探す必要がなくなります。
なお、2022年1月1日の電子帳簿保存法改正により、電子データで取引したものについては、電子データ保存が義務付けられることになりました。これまで電子取引であっても、紙に印刷して保存することが可能でしたが、法改正によって「電子取引は電子データで保存」することが必要になりました。
ただし、紙のレシートのみ「紙の保存」もしくは「一定の要件を満たしてスキャナ保存」の2通りの保存方法が可能です。法改正された2022年より2年間は、猶予期間として、以下の要件を満たすことで引き続き紙での保存が認められています。
- 所轄税務署長が当該電子取引の保存ができなかったことについて、やむを得ない事情があると認めた場合
- レシートや領収書の提示を求められた時に、提出に応じる場合
(参考:令和4年度税制改正の大綱)
レシートを管理不備でなくした場合はどうする?

業務に必要な物品を購入したのに、うっかりレシートをなくしてしまった・・ということもあるかもしれません。ここでは、レシートの管理が不十分で、紛失した場合の対処法を紹介します。
再発行を依頼してみる
物品を購入したお店に問い合わせて、再発行を依頼してみましょう。ただし、レシートや領収書は、金銭を受け取った際の発行義務はあるものの、再発行の義務はありません。
そのため、「過去のレシートの発行はできません」と言われてしまえば、それまでです。一般的に企業は二重発行を嫌がる傾向にあり、再発行を断っているケースも多いと考えられます。ただ、可能性はゼロではないため、一度ダメもとでお店に聞いてみると良いかもしれません。
クレジットカード会社が発行する利用明細を使う
クレジットカードで商品を購入した場合、クレジットカード会社が代金を立て替えてお店に支払うことになります。そこで、料金の支払いを立て替えをおこなうクレジットカード会社で発行される「利用明細」を、レシート・領収書の代わりとして使うことができます。
利用明細には発行者、宛名、購入内容、利用額、利用日時などが記載されており、クレジットカードで物品を購入した証明となります。
出金伝票を発行する
出金伝票は、領収書が発行されない電車やバス、取引先のお葬式の香典などを経費計上する際に利用する伝票です。この出金伝票は、レシートをなくした場合や、受け取り忘れたときに使えるもので、日付・支払先・内容・金額を記載します。
出金伝票は文具店で販売していますが、Excelなどで作成したものでも問題ありません。なお、保存期間は通常のレシートや領収書と同じで、原則7年となります。
感熱紙の場合は印字が消える可能性も
コンビニやスーパーなどで受け取るレシートは、「感熱紙」という紙を使っています。感熱紙は熱を加えて印字するものですが、保存状況によっては文字が消えることがあります。
完全に文字の消えたレシートは経費計上の書類として使えないため、注意が必要です。少しでも長持ちさせるには、レシートの文字が書いてある面を内側に二つ折りにして、光や空気があまり当たらない状態で保管する方法が有効です。
レシート管理ができる会計ソフト2選|インボイス制度も対応

電子帳簿保存法の改正により、フリーランスは「レシートを電子化して保存する」という対応が必要になりました。そこで、レシートが電子化できる管理ツールを紹介します。
freee
freeeは、初めて会計ソフトを利用するフリーランスにおすすめです。難しい専門用語が少なく、会計や簿記を全く知らない初心者にも使いやすい設計となっています。
金融機関やアプリと連動しておくことで、自動的に仕分けしてくれる機能があり、利用履歴を完全に自動化できます。逆に、ほかの会計ソフトを過去に使ったことがあるフリーランスにとっては、使いづらく感じるかもしれません。
freeeの詳細はこちら
Money Forward クラウド
家計簿アプリでも有名な、Money Forward クラウドです。freeeと同じく金融機関との連動が可能で、帳簿付けを自動仕分けしてくれます。
業界トップクラスの利用者数でランニングコストが安く、出費をおさえたいフリーランスにもおすすめ。クレジットカード、電子マネー、ショッピングサイトなど、2,400以上もの金融機関サービスと連携できるのも魅力です。
Money Forward クラウドの詳細はこちら
確定申告のサポートが受けられるフリーランスエージェント『Bizlink』

確定申告をするには、レシート・領収書、請求書などの書類や、帳簿付けなどの会計に関する知識をつけなければなりません。日々の業務をこなしているフリーランスにとって、確定申告に関する知識を勉強するのは、なかなかハードなことです。
また、確定申告の時期になると、急いで1年間のレシートや書類をかき集めて帳簿付けをおこなっているフリーランスも少なくありません。そこで、わずらわしい確定申告のサポートが受けられる、フリーランスエージェントを利用するのもおすすめです。
フリーランスエージェントとは、案件を探したいフリーランスと仕事を任せたい企業をマッチングするサービスです。なかでも、フリーランスエンジニアに特化した『Bizlink』は高単価案件が豊富で、安定した収入を望むフリーランスに最適なエージェントです。
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まとめ
フリーランスが確定申告で経費として計上したレシートは、原則7年間の保存・管理をしなければなりません。ただし、インボイス制度や電子帳簿保存法の改正により変更された点がいくつかあるため、本記事の内容を参考にしっかり理解しておきましょう。
業務に必要な物品の購入やサービスを利用した際のレシートは、なくさないようにしっかり管理することもフリーランスに求められる能力の1つです。もし会計ソフトや管理ツールを使っていない場合は、業務の効率化のために利用を検討してみるのもよいでしょう。
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