プロジェクトマネージャーを目指す上で、「プロジェクトマネージャ試験」の受験を検討している方も多いと思います。
しかし、IT系には難易度が高い資格も多く、どのくらいのスキルレベルなのかを事前に把握しておきたいもの。
本記事では、プロジェクトマネージャ試験の難易度や資格を取るメリット、勉強方法を紹介します。プロジェクトマネージャーを目指している方は、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
そもそもプロジェクトマネージャ試験とは

プロジェクトマネージャ試験は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が実施している国家資格で、「情報処理技術者試験」の1つです。
合格するとプロジェクトマネージャーに必要な、「システム開発を成功に導くための知識と技術」の証明となります。
試験の名称を聞いたことがある方や、なんとなく知っている方は多いと思いますが、受験を検討するのであれば詳細についても把握しておきましょう。
ここでは、プロジェクトマネージャ試験の概要や対象者について、詳しく紹介していきます。
試験概要
2018年まで春に実施されていたプロジェクトマネージャ試験ですが、2021年からは秋(10月)開催に変更されました。また、年々変化するIT業界に対応すべく、2022年にはプロジェクトマネージャ試験の試験要綱やシラバスも変更されています。
実施方式は筆記で、午前のマークシート方式と午後の記述式の2回に分けておこなわれます。なお、配点は100点で合格基準点は60点となっています。
今後も、プロジェクトマネージャーに求められる要素にあわせて変更される可能性は十分にありますので、受験前にはしっかりと内容を確認しておきましょう。
詳細の情報は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の公式サイトよりご確認ください。
対象者
プロジェクトマネージャ試験は、システム開発を活用した組織戦略の実現に向けて責任をもってプロジェクトマネジメント業務を担う人を対象者としています。
プロジェクトマネージャーになるために資格は必須ではありませんが、取得しておくと「プロジェクトマネージャーとして十分なスキルがある」と言う客観的なスキル証明としてアピールできるようになります。
また、プロジェクトマネージャ試験の受験には必須条件がありませんので、年齢や経験年数に問わず誰でも受験可能です。
プロジェクトマネージャ試験の難易度

プロジェクトマネージャーの資格の中でも王道といえる「プロジェクトマネージャ試験」ですが、難易度は非常に高く「スキルレベル4」という最高難易度に設定されています。
これはIT人材を対象とした試験「情報処理技術者試験」のなかでもっとも高いレベルで、合格率は2015年以降13〜15%で推移しています。
ただし、合格率は2004年以降上昇傾向にあり、2004年の合格率8.3%に対して2022の合格率は14.1%となっています。
(参考:プロジェクトマネージャ試験の合格率 その他統計資料)
また、先ほど受験について「とくに条件はない」とお伝えしましたが、試験内容から考えても、未経験者が試験に合格するのはとても難しいと考えられます。
プロジェクトマネージャには高度なITスキルが求められるため、現実的にはある程度の実績や経験年数は必須と思っておく方がよいでしょう。
将来的にプロジェクトマネージャ試験を受けてみたいと考えるのであれば、プロジェクト開発に実際に携わって理解を深める必要があります。
プロジェクトマネージャ試験の内容
プロジェクトマネージャ試験の項目は、以下のとおりです。
【プロジェクト立ち上げ】
プロジェクト立ち上げの項目では、次の内容の知識と技術が求められます。
- 情報システムまたは組込みシステムの個別システム化計画の作成
- 個別システム化計画の承認
- プロジェクト憲章の作成
- ステークホルダの特定
- プロジェクトチームの編成
【プロジェクトの計画】
プロジェクト計画の項目では、プロジェクト計画に関するすべての内容の知識と技術が求められます。
- プロジェクト計画の作成
- システム開発アプローチの選択
- スコープの定義
- WBSの作成
- 活動の定義
- 資源の見積り
- プロジェクト組織の定義
- 活動の順序付け
- 活動期間の見積り
- スケジュールの作成
- コストの見積り
- 予算の作成
- リスクの特定
- リスクの評価
- 品質の計画
- 調達の計画
- コミュニケーションの計画
【プロジェクトの実行】
プロジェクトスタート後の作業遂行のマネジメントも、プロジェクトマネージャーの重要な業務です。ここでは、次の内容に関する知識や技術が求められます。
- プロジェクト作業の指揮
- ステークホルダーのマネジメント
- プロジェクトチームの開発
- リスクへの対応
- 品質保証の遂行
- 供給者の選定
- 情報の配布
【プロジェクトの管理】
プロジェクトを成功に導くため、すべての方面からマネジメントします。プロジェクトの管理の項目では、次のような内容の知識と技術が求められます。
- プロジェクト作業の管理
- 変更の管理
- スコープの管理
- 資源の管理
- プロジェクトチームのマネジメント
- スケジュールの管理
- コストの管理
- リスクの管理
- 品質管理の遂行
- 調達の運営管理
- コミュニケーションのマネジメント
【プロジェクトの終結】
プロジェクトの最終段階においても、引き渡しや残された問題の記録、評価、次に繋がる教訓などをまとめます。
- プロジェクトフェーズまたはプロジェクトの終結
- 得た教訓の収集
(参考:「プロジェクトマネージャ試験(レベル4)」シラバス(Ver.7.0))
プロジェクトマネージャ試験を受けるメリット

プロジェクトマネージャ試験を受けてみようと考えている方は、試験に合格することでどのようなことがメリットになると考えているのでしょうか。
どのような分野でも、資格を取得する代表的なメリットとしては「スキルを客観的に証明できる」かと思います。
しかし、それ以外にもプロジェクトマネージャ試験を受けるメリットはいくつかあり、事前に知っておくとより身につきやすくなるはずです。
プロジェクトマネージャ試験を受けるメリットについて、1つずつみていきましょう。
スキルを体系的に学べる
上記で紹介したように、プロジェクトマネージャ試験の出題範囲はとても幅広く、さまざまな知識や技術が試されます。
そのため試験に向けた勉強をすることで、プロジェクトマネジメント業務に関する全体的な知識を見つけられるようになります。
プロジェクトリーダーを経験するとマネジメント業務も担うことになりますが、プロジェクトマネージャーは、さらに広い範囲に対応できる人材でなければなりません。
当然ながら習得すべき知識も膨大ですが、試験当日までに身につけた知識や技術は、実際の現場で活用できるようになるはずです。
キャリアアップにつながる
プロジェクトマネージャ試験に合格すると、転職や案件探しの際に有利になります。
そのため、これまでなら「自分には無理だろう」と思っていた企業への転職や、大規模なプロジェクトへの参画も叶う可能性を高められるでしょう。
とくにプロジェクトマネージャ試験は実践的な内容に沿っているので、スキル強化として挑戦するのもよいかもしれません。
ほかの資格試験の条件免除がある
プロジェクトマネージャ試験に合格すると、一部免除される国家資格があります。具体的には次のとおりで、試験によって免除となる項目が異なります。
- 中小企業診断士試験・・・第一次試験科目が一部免除
- 技術士試験(情報工学部門)・・・第一次試験科目が一部免除
- 弁理士試験_・・一部科目が受験免除(理工V「情報」)
- ITコーディネータ(ITC)試験・・・一部科目が受験免除
プロジェクトマネージャ試験のほかにも資格を取得しようと考えている方は、事前に詳細をチェックしておきましょう。
プロジェクトマネージャ試験の勉強方法
プロジェクトマネージャ試験には、参考書と過去問を購入して勉強する方法や、スマホアプリを活用する方法などが一般的です。
独学での受験が不安な場合は、プロジェクトマネージャ試験向けの講座を受講するのも良いでしょう。
プロジェクトマネージャ試験には、マークシート方式と記述式の2タイプのテストがあるので、それぞれの対策をおこなっておく必要があります。
マークシート方式の試験は4択から選択しますが、ここでは設問を読んで正しい答えを素早く導き出すことが大切です。試験勉強でも時間を意識しながら過去問を解く方法を取り入れましょう。
設問を読んで文章で答えを書く項目では、「何について問われているのか」をできるだけ早く把握して、簡潔かつ正確に答えを書かなければなりません。
要点をまとめるスキルや考えを言語化するスキルなどが求められるため、試験勉強では手書きで素早く回答できるように、繰り返し練習しておきましょう。
こちらもタイマーで時間を測って、日頃から時間を意識して試験に臨むとより良いです。
プロジェクトマネージャ試験のほかに有利な資格

プロジェクトマネージャ試験以外にも、プロジェクトマネージャーを目指すうえで有利になる資格がいくつかあります。
以下の表に、プロジェクトマネージャ試験のほかにも有利になる資格をまとめました。
名称 | 資格分類 | 業界、領域 | 証明できるスキル |
プロジェクトマネージャ試験(PM) | 国家資格 | システム開発 | プロジェクトマネジメント |
PMP | 国際資格 | IT〜建設など | プロジェクトマネジメント |
P2M | 民間資格 | 医療系、行政系、教育系など | プロジェクトマネジメント |
PMOスペシャリスト認定資格 | 民間資格 | PMO | プロジェクトマネジメント |
基本情報技術者試験 | 国家資格 | IT | IT技術 |
ITストラテジスト試験 | 国家資格 | IT | IT技術 |
プロジェクトマネージャーが「実際に現場でコードを書く」ということは基本的にありませんが、プロジェクトに関するIT技術の基礎知識は必要不可欠です。
そのため、プロジェクトマネジメントに関する資格以外にも、IT技術に関する資格を取得しておくと、採用担当者や周囲へのスキルの証明となります。
とくに、「基本情報技術者試験」は、ITについて幅広く出題されるため難易度は高めですが、しっかりと時間をとって勉強すれば独学でも合格できる資格となっています。
もちろん、資格を取得すれば年収が上がる・雇用条件がよくなると決まっている訳ではありませんが、より上を目指すのであれば取得を検討してみると良いでしょう。
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プロジェクトマネージャ資格を取得しても、そのスキルを活かす環境がなければ意味がありません。プロジェクトマネージャーに求められる仕事内容は、企業やプロジェクトによって多少変わるため、柔軟に対応できる心構えも大切です。
また、フリーランスのプロジェクトマネージャーとして、プロジェクトに参画するという働き方も可能です。プロジェクトマネージャーの案件を扱っているエージェントに登録して、希望条件や現在のスキルを伝えてみましょう。
専任コンサルタントと話していくうちに、これまで携わってみたかったジャンルや規模の案件が見つかるかもしれません。
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まとめ
プロジェクトマネージャ試験は「スキルレベル4」という難易度の高い試験となっています。非常に難しい内容であるがゆえに合格率も低く、勉強中に挫折しそうになるかもしれません。
しかし、逆に考えると難易度が高く合格率が低いということは、その試験を通過すれば希少価値の高い人材になれるということでもあります。
試験勉強には多くの時間が必要になりますが、プロジェクトマネージャーとしての高度なスキルを身につけたい方や、スキルを証明する要素を必要としている方は、受験を検討してみてはいかがでしょうか。
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